東京都表参道の裏通りに計画された築25年のビルの全面リノベーションであり、オフィスビルを商業施設対応にするコンバージョンプロジェクトである。施主の要望は、ファサードの表情を周囲と差別化し、建築物がテナントにとって、ブランディングの一助となるようなデザインにして欲しいというものであった。我々は物理的に硬い表情になりがちな周囲の建築物の中に、柔らかい表情を持たせることで周囲から浮き立たせながらも、通行人に好意をもって受け止められるようなデザインを目指した。既存の躯体に付随した時代遅れになった装飾的な架構物を可能な限り取り除きプライマリーな形状とし、新たに付加した金属製ルーバーにより、現代的で、柔らかな衣服を想起させるような表現をコンピューティングデザインにより目指した。アール部分が三次元にズレながら繋がることで柔らかな表現を生みだしているルーバーは、一見複雑に見えるが、２種類のアール（700Rと1700R）と直線のみで構成されており、交差されたSUSレートに溶接され、SUSパイプによって躯体から持ち出すことで、施工性の合理化につながっている。閉塞感が漂う時代の中、建物と周囲が新たな係わりを築き、多様で豊かな表情を持つストリートになることで、界隈の活性化につながることを期待した。竣工後には通りを歩く人が笑顔でこの建築物の写真を撮っている姿を何度も目撃した。また、施主にとっての事業としても、ファサードデザインによって相当な利回りを確保できていると聞き、ひとまず成功したと確信している。
This is a conversion project for a 25-year old office building, located on a back street of Omotesando in Tokyo, in order to facilitate commercial functions. The client requested a design that would have a façade expression differentiated from the surrounding buildings, and that would be a part of future tenants’ branding. We aimed at a design with a soft expression that would be favorably accepted by passersby, while standing out from the surrounding buildings that tended to have physically hard expressions. By removing the out-of-fashion decorative frame structure on the existing building frame as much as possible, the primary shape was exposed. Then, metallic louvers were placed by using computer aided design to add a modern expression that conjures images of soft clothing. The louvers give a soft expression by connecting three-dimensionally misaligned radiuses. They appear complicated but consist of only two types of radii (700R and 1700R) and straight lines. The louver components are welded to crossed SUS plates, and protrude from the building frame by SUS pipes.